グロースハックとは何かを説明するよりも、そもそもどうしてグロースハックが重要なのかをお伝えしたいと思います。
ITはデジタル製品にかぎったことではなく、あらゆるビジネスを成長させるのに欠かせない要素になりましたが、デジタルをビジネスに有効活用するうえでのエッセンスををお伝えしたいと思います。
セールス、プロモーション、マーケティングに至るまでビジネス活動においてデジタル技術を使うとしたら、アナログ時代とは考え方を変えて使わないとその恩恵を十分にうけることができません。
デジタルの何がビジネスに役立つかというと「情報技術」によって顧客の行動データをシステムに蓄積することで定量的な意思決定ができるようになり、また「通信技術」によって小さい単位での改善を実行しやすくなりました。それぞれ掘り下げていきましょう。
施策を定量的に評価できる
顧客の行動や反応をデータで可視化することで、施策の効果があったかどうかを確認することができます。
例えばWebサイトではGoogleアナリティクスを導入することでトラフィック計測が無料で行えますし、タグマネージャもあわせて導入するとGoogleアナリティクス単体では取得できないデータ計測が可能になります。
またバックエンド側でとりたいデータがあるとしたら、コストがかかりますがアクセスログやデータベースを併用しての計測も可能です。
このような定量的なデータに基づいて意思決定していくことで人に依存しない再現性のある判断が可能になりますし、現代は欧米ほどではないにせよ人材が流動的な時代、仮に担当者が変わったとしても同様の判断ができるようにデータに基づいた意思決定をしていくべきです。
変更や修正を低コストで反映できる
スマートフォンとしてポケットに入れて持ち運びが出来る、パーソナルなコンピュータが普及したことによって、検索という手段は一般的な情報獲得手段になり、デジタル製品に限らずプロモーション・セールスにおいてインターネットの活用は欠かせない存在になりました。
スマートフォンが消費行動の起点になったことで、いまや企業がSNSを使って消費者に近い立場で発信することもよくある光景です。
ここでポイントなのはインターネットを通して情報を提供していることです。
消費者が情報にアクセスしやすくなったのは企業が提供する情報も変更することが簡単になった、低コストでできるようになったのです。
例えばWebサイトに掲載している情報をAからBに変更したほうが売れる確率が高いと仮説を立てられるなら、通信技術によってスピーディーにBに変更できますし、また変更後に仮説が正しくなかったとしあら、再度Aに戻せばいいのです。
これは通信技術によって手元のクライアントコンピュータから変更をサーバーコンピュータに反映することで、世界中に反映される技術のたまものです。
この変更プロセスはデジタルを使わないとコスト高になり、現実的ではありませんでしたが、通信技術によって以前からは可能でしたが、スマートフォンが一般に普及したことで取り組む意義が大きくなったのです。
DX化の本質がグロースハック
2018年の経済産業省のDXレポートが反響を呼び「DX」という単語が注目されるようになりましたが、DX=デジタルトランスフォーメーションとはデジタル化に加えてトランスフォーメーション=変化を指します。
つまりデジタル化にとどまらない、デジタルを活用して働き方に変革をおこすのがDXの根幹です。
とはいえデジタルに詳しくないと本質を理解しないまま突き進んでしまい、コストだけ垂れ流ししてしまうリスクがあります。
DXはどこか流行り言葉のように感じますが、私はDXが失われた30年と揶揄される日本経済の低迷に光をもたらすきっかけになると信じています。
DX化ではタッチポイント(顧客と企業の接点)にデジタルを活用していくのが起点です。
例えばセールスやプロモーションのデジタル化ということならWebサイトを持つというのは選択肢のひとつですし、対面営業なら顧客との対応履歴をオンライン上に登録してもいいでしょう。
飲食店ならインスタグラムで料理画像を発信してもいいと思います。
大切なのはなるべく顧客に近い情報をシステムにデータを蓄積していくことであり、データがあることで社内での情報共有や意思決定がしやすくなり、グロースハックという変革につながります。
まずはグロースハックの文化づくりから
先行者利益を獲得するためにトップダウンでDX化を進められるならいいのですが、変化は痛みを伴うもの。
デジタルを使い慣れていない企業でいきなり全社的に実践していくのは組織の規模が大きいほど難しいとは思いますので、まずは小規模なプロジェクトから少しずつ取り入れて成功体験を積み重ねつつ、デジタル活用の文化作りから取り組むのもいいでしょう。
またデータに基づくグロースハックは小さな改善を長く継続することで複利で大きな成功を目指しますが、時には改善施策が失敗することもありますので、失敗を許容することも大切です。
とはいえ失敗したままではいけませんので、失敗を次に活かすために原因分析は欠かせません。
それにデータからマーケットや顧客のニーズを読み取り、サービスや製品を作りあげていくのがグロースハックですが、組織が大きくなるほど、社内の事情に意識が向きがちになるため注意が必要です。
あらゆるビジネスで必要性が増している
グロースハックはデジタル製品に限定したアプローチではなく、スマートフォンが普及したことで検索エンジンやSNSをはじめとしたインターネットから情報収集するようになったため、あらゆるビジネスを成長させるのに最適なアプローチです。
よほどのブランドが築けていれば、インターネットに頼らずともビジネスが成立するかもしれませんが、ビジネスに競合が存在する以上はインターネットの活用が切り離せなくなった企業が多数でしょう。
現代は技術の進歩により個人でもそれほどコストをかけずにWebサイトを持てるようになりましたが、低コストでWebサイトを持てるようになった反面、顧客から選ばれるためにはグロースハックという枠組みのなかで各社知恵を絞ることが求められるようになったのです。